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ドックスベストセメント

[どんなもの?] [3Mixとの違い] [通常の治療]
[破折] [症例] [Q and A]


Doc's Best って何?

ヨシダ歯科ではドックスベストセメント(Doc's Best Cement)という「夢のセメント」をご用意しております。

通常の治療は「虫歯部分を完全に除去」することが基本です。虫歯部分(軟化象牙質)を完全に除去するのに痛みがある場合は麻酔が不可欠です。

たまにネット上の質問コーナーに「麻酔をすると歯を削りすぎるので麻酔をしない方がよい」だとか「虫歯部分を残しても痛いまで削っては駄目」とか似非歯科医が回答していますが、信じないでね(笑)。

虫歯部分(軟化象牙質)を完全に除去するのは基本中の基本、王道です。そして、虫歯部分(軟化象牙質)を除去して歯髄まで虫歯が達していたら「神経を取る」という治療になることがほとんどです。

深い虫歯がある ->
麻酔が不可欠(又は麻酔なしで痛みに耐える) ->
虫歯が神経まで達していたら神経を取る

という「イヤな治療」となってしまうのです。神経を取った歯も一生持つのならガンガン実行したいのですが、残念ながら神経を取った歯でも痛む場合がありますし、なにより破折する可能性が高くなります。

 

ところが、このドックスベストセメント(Doc's Best Cement)は虫歯部分(軟化象牙質)を完全に取り除きません。いえ、軟化象牙質が残っていた方が都合がよいのです。軟化象牙質はドックスベストセメント(Doc's Best Cement)の力で無菌化され、石灰化し治癒するのです。

深い虫歯がある ->
麻酔しないでエナメル質だけ軽く除去する ->
ドックスベストセメントを埋める ->
最終充填をする

という、麻酔もしない神経も取らない「夢の治療」となるのです。


見た目は普通のセメントです。

3Mixとの違い

はて、上の説明をみると「3Mixなんちゃら法」と同じじゃない?と思います。おおよそ同じですが・・

■3Mixは物性がない(固くない) -> 固くない物を詰めて大丈夫なの?
■3Mixは抗菌力の維持がない -> 3Mixは作成してから翌日には効力が無くなります。
■3Mixはアレルギーがあり得る -> 問診しなくてはならないが「膣トリコモナスの薬でアレルギーはありますか?」なんて聞けるのか?
■3Mixは作成と管理が非常に厳密で難しい -> いいかげんなオイラには無理っぽい

3Mixなんちゃら法のベテランの先生にはイロイロ反論(反感)をかいそうですが、オイラはオイラの頭の中で理解できないんですね。

だったら、操作も管理も簡単で抗菌力は持続性がありセメントだから固いドックスベストセメント(Doc's Best Cement)が有利であろうと考えてます。

通常の治療

チャート1

歯科医師以外の方には分かりにくいかも知れません。矢印部分に虫歯があります。

レントゲンでも確認しますが、かなり深いであろうことが予想されます。

しっかりと麻酔をしてから治療します。

患者さんは虫歯だという自覚はないでしょう。

でも、少し削るとハッキリと虫歯があるのが見えますね。放置しておくと将来的には神経まで達する虫歯になるでしょう。

こういう虫歯は歯科医師でないと見つけられません。

「神経まで達していないと思いますが、虫歯がありますので治しましょう」という提案をすると「小さなうちに見つけていただいてありがとう」と言われることが多いです。

しかし「えぇ??でも痛くないんですよ〜」と不服顔をされることがあります。

まるで健全な歯を勝手に削るような言い方をされることもあります。そんなに歯科医師は信用がないのでしょうか・・・

このケースではコンポジットレジンというプラスチックを充填しました。銀歯の治療も間違いではないと思います。強度などを考えると銀歯の治療も正しいのです。

 

チャート2

赤矢印部分の下に虫歯が潜んでいます。

患者さんは「少し凍みるかも」程度にしか感じていません。

レントゲン上、かなり深い虫歯であろうと予想されました。しっかりと麻酔をして削り進みます。

かなり深いです。

しかし、通常の治療で「虫歯部分を残す」のは禁忌です。

ネット上では「麻酔をすると削りすぎるから駄目」とか「痛まない程度しか削っては駄目」とか未だにそういうたぐいのコトを発言する歯科医がいます。

オイラに言わせればそんなヤツ「基本を何も知らないアホチンコタレ」です。(また反感をかいそう)

基本的に「虫歯に罹患している部分を残すことは駄目」なんです。虫歯部分をしっかり削除するためには麻酔をします。

このケース、神経ギリギリまで虫歯でした。あと0.2ミリほどで神経を取らなくてはならないところでした。

 

破折例

虫歯で神経を抜く・・・日常茶飯事な治療です。日本の医療制度は出来高払いです。ハッキリ言って「神経まで虫歯の患者さん」はウチ等にとってタカラの山かも知れません。

でも、神経を取った歯は特段に割れやすいのです。

銀歯などが被っていると、破折はなかなか見つかりません。時間が経たないとレントゲンにも写りません。

銀歯(差し歯とか)を外してみると破折していた・・・・よく遭遇することです。

目を凝らして見てください。

矢印部分に破折があるのが分かりますか?

このケースも銀歯を外すまで破折とは気がつきませんでした。

どうも腫れが治らない・・・歯茎をはぐってみると、歯が破折しているのがわかります。

破折を何とか「誤魔化す」こともありますが長くは持ちません。ほぼ抜歯と考えてもらってもかまいません。

もちろん、神経がある歯も割れることがあります。

しっかりと噛み合う歯がある中年以降の男性に多いです。

この歯は根までみごとにまっぷたつでした。

 

ドックスベスト使用例

チャート1

ドックスベストを使った初めてのケースです。若い女性で「物が詰まると痛い・・」でした。通常ならまず神経を取る治療でしょう。神経を取ったら100パーセントすべてを被せる銀歯のクラウンを入れなくてはなりません。

 

他に銀歯の無いこの女性のお口の中に大きなメタルを入れるのはイヤでした。

ドックスセメントを利用して治療をやらせてください・・・こう言いました。

麻酔はしません。虫歯の上にあるエナメル質は削りますが、この部分の削除は痛くありません。

ある程度けずりました。虫歯部分を残すのはタブーなんですが、ドックスベストセメントは虫歯部分が残ったまま処置します。っていうか、虫歯部分が必要なんです。

セメントの粉をコーパライトで浸透させます。

虫歯部分にドックスベストセメントをいれます。

はみ出した部分を削りますが、エナメル質だけを削るので痛くありません。

コンポジットレジンを充填して終了です。

所要時間は10分程度でしょうか。

 

チャート2

親知らずが虫歯です。その手前の歯は残念ながら抜歯となりました。

 

虫歯は小さいのですが、ほんの少し削ると「ピリッ」という痛みが走りました。

麻酔をしてしっかり虫歯部分を削り去るのが本来の治療でしょう。

このままドックスベストセメントを利用して治療することにしました。

コーパライトにてドックスベストセメントの粉を浸透させます。

ドックスベストセメントを充填します。

余剰部分を綺麗にします。

コンポジットレジンを充填して終了です。

イヤな麻酔をしなくて済みました。

 

チャート3

銀歯の下に虫歯があります。

少し凍みるような気がする・・・という自覚症状があります。

一見、銀歯に問題はなさそうですが・・・

銀歯を削って外します。

麻酔をしてませんので、痛くならないように注意深く銀歯を外しました。

やっぱり中で虫歯が進行してました。

コーパライトにてドックスベストセメントの粉を浸透させます。

実はコーパライトには独特の臭みがあるのですがチョイと我慢です。

ドックスベストセメントを充填しました。

はみ出た部分を綺麗にします。

小さなバーで周りを少量削ったり、超音波スケーラー(歯石を取る道具)で綺麗にします。

コンポジットレジンを充填して終了です。

もちろん銀歯でもオッケーですが白い方が良くないですか?

 

チャート4

凍みてたりしたそうですが、歯科医師以外の方がこの歯を見て「あっはーん、かなり深そうな虫歯だな」と判断するでしょうか。

我々歯科医医師はレントゲンを見なくても「こりゃー深けぇ虫歯だな」と想像がつきます。

 

虫歯が深いのがわかります。

この患者さん、高校生の女の子なのですが、超恐がりで、超痛がりです。

ヨシダ歯科No.1の痛がりかも知れません。

「麻酔も怖いけど、麻酔しないのもコワイ!!」

ということですが、麻酔せずに不要なエナメル質のみ削除します。

しっかり麻酔をしてしっかり虫歯部分を削除してという治療が王道ではあります。

ですが、王道治療をすると神経を撮らなくてはならなり確率はほぼ100パーセントのような気がします。

神経を取ると脆くなります。

10代半ば過ぎの患者さんの神経を取ると・・・・いつしか破折することも十分に考えられます。

はみ出したドックスセメントを綺麗にしました。

あとはコンポジットレジンを詰めるだけです。

■麻酔もしない
■痛みも感じない
■銀歯にもならない

これは夢のような治療法ではないでしょうか。

 

 

ドックスセメント Q and A

治療は何回ぐらいかかるのでしょうか。

1回で終了します。上の症例はどれも10分から15分ぐらいで終了しています。

 

どんな虫歯にも有効ですか?

どんな治療でもそうですが症例を選びます。

今現在痛みがある場合は無効だと考えられます。
また、すでに歯の神経を取っていたり、歯の神経が死んでいる場合は無意味です。
その他、前歯にも使えますが、残念ながら審美的にはあまり綺麗ではありません。目立つ部位への応用は控えた方がよいと思います。

 

保険は効きますか?

残念ながら保険外診療となります。削る -> ドックスセメント -> コンポジットレジン充填 まで合計で21,600円です。コンポジットレジン充填以外の処置についてはお問い合わせ下さい。

 

一生持つのでしょうか。

噛み合わせの状態、清掃状態によってずいぶん違うと思います。

よく他の治療でも「一生持つのか」という質問を受けますが、、、、2万円のメガネは一生持ちますか? 2万円の携帯電話は一生持ちますか? 2万円のお洋服は一生着ますか?

コンポジットレジン部分が破折することはあると思います。ただ、その部分を修復するだけなのであまり心配は無いと思います。本質的な部分が駄目になることは今までに経験はしてませんが、希に「やっぱり神経を取らなくてはならなかった・・・・」とうことはあり得ると考えています。

 

治療は痛いですか?

ほぼ痛みゼロに近いと考えています。逆に、麻酔を施さなければならないほどの虫歯は適応症ではありません。

 

どの部位にでも適応できますか?

上の写真を見てもらうとわかりますが、色があまり良くないです。前歯の目立つ部分などは不向きです。また、奥歯でも「見た目」にあまりにもこだわる方にはダメかも、、、。

 

保険の治療と比べて高いと感じます。

実際の治療を受けられると、すぐに終了してしまうので高いと感じられるでしょうね。
計算してみましょう。

ドックスベストセメントのチャート1のケースですが、神経を取って銀歯(FCK)を被せるとおおよそ以下の治療費がかかります。麻酔の種類、築造の種類、セメントの違い、北海道なので療養担当手当がある、、、(細かいカ所で差異があります)

おおよそ2,638点で 3割り負担では7,910円の一部負担金がかかりました。一部負担金は7,910円ですが、治療費全体は26,380円なのです。

しかも4日間の治療日を要しています。

しかもイヤな麻酔をしなくてはなりません。

しかも銀歯になります。

しかも破折してしまう可能性も高いです。

どっちが得かヨーク考えてみましょう。

 

治療法 神経を取り銀歯に ドックスベストセメント
麻酔 麻酔をする 麻酔をしない
治療回数 おおよそ4回 1回
終末 銀歯・・破折の可能性あり 白い歯
治療費 7,910円
(治療費全体は26,380円)
21,600円

 

 

神経を取る→銀歯を被せるときのおおよそのカルテです。
右の数字が所定点数です。


※治療方針によって、微妙な点数の差は出ます。
※銀歯の点数は6ヶ月に1回、その他も2年に1回の点数改正で変わります。