Top page > Academic > 顎関節症

 

顎関節症

[ はじめに ] [ 顎関節症って何? ] [ 顎関節症の原因]
[ 噛みしめについて ] [ 治療のながれ]

 

はじめに

いきなりですが、顎関節症です。図説などで面白く分かりやすく説明できれば良いのですが、、、、。なるべくわかりやく記述するしますが、顎関節症については解らないことも多く私自身の私的意見も含まれています。

顎関節症って何?

主に言われている症状は次の3つです。

    1. 顎の関節付近に痛みがある
    2. 大きく口を開けられない(又は痛くて口を開けられない)
    3. 口を開け閉めするときに変な音がする(カックン・ジャリなど)

こんなことも顎関節症だといわれています。

頭痛がする・耳が痛い・胃が痛い・足が痛い・めまいがする・根気よく物事に集中できない・目が遠くなる・めまいがする・背中などが痛い・肩こりがするなどが有名。靴の減りが早いだのゴルフのボールが飛ばないなんてのも顎関節症の症状だとまで言い出す始末です。

ちょっと待って! 確かに咀嚼筋の緊張にともなう痛みは次々に周囲の筋肉の疼痛を促します。そして、又次の筋肉・次の次の筋肉と疼痛が放散すると全身の痛みを発生させることは何となく解ります。肩こりなどは解りやすいですよ。
耳が痛いなどは関節に近いので関節の痛みを耳の痛みと受け取られることもあるでしょう。
でもね、胃が痛いということで歯科医院をファーストチョイスするのは間違いです。ましてや靴の減りが早いだけで歯科医院には来ないように(笑)

顎関節症の原因

教科書にはこう書いてありました。

外来性外傷、内在性外傷、リュウマチのほか、原因不明の特発性に発症するものなどがあるが、異常な咬合および咬交に起因する内在性外傷によるものがかなり多いと考えられる。

なんのこと?ですよね。いいこと書いてますが、忘れましょう。

私はこう考えています。

『噛み合わせの不都合さ(顎がずれているということ)と異常な噛みしめ癖やタッピング(歯をカチカチさせること)などの癖により長時間歯と歯をあわせている時間が長いと顎関節症になってしまう。』と考えています。
もっと、いろいろな要素がありそうですが、ここでは話を単純にするために他のことは考えないようにしましょう。

まだ、なんのことか?ですよね。追って説明いたしましょう。

 

上の図を見て下さい。理想的な位置に顎の関節がある方(噛み合わせがバッチリの人)は左側の円が小さいので顎関節症にはなりにくいと考えられます。

咬む時間(歯と歯をグリグリまたはカチカチと合わせている時間)の短い方は右側の円が小さいので顎関節症になりにくいと考えられます。

何となく解りかけましたか?

顎のズレにはどのような事が考えられるか。

      1. もともと歯並びが悪い。
      2. 頬杖などの癖がある。
      3. 以前治療した補綴物(銀歯や白い歯)が高い 又は低い。
      4. 歯を抜いてしばらくそのままにしていた。
      5. 奇形・外傷 下顎の発育不良
      6. その他いろいろ考えられます。

しかしながら、顎の関節のズレは大小の差があるにせよ誰でも持っていることなのです。100パーセントバッチリの人はほとんどゼロと云っていいでしょう。

咬む時間の長さにはどのようなことが考えられるか。

      1. ストレスが大きい。(顎関節症はストレス病ともいわれています。逆に云うと人間は歯を食いしばることによってストレスを発散させているのです。)
      2. ストレスに対する感受性が強い。
      3. 下を向く仕事や趣味がある。(針仕事やパソコンなど)
      4. 姿勢が悪い。
      5. その他の原因による無意識の噛みしめ。

正常な人歯と歯を合わせている時間は一日のうちどのくらいだと思いますか?意外と短く15分から20分くらいと云われています。お口を少しでもあけていると下顎の関節は奥の方には押し込まれません。変な位置に顎の関節が押し込まれてもせいぜい一日20分程度だと、悪さをしないのです。

え〜歯医者さんでは『良く咬んで食べましょう』と言っていたのに、どーして?と思いませんか?実は食事の時はかなり大きな力で咬んでいるのですが、歯と歯がかみ合っている時間は一瞬であまり負担にはならないのです。食事は時間をかけてしっかりと食べても大丈夫です。

また、歯と歯を食いしばってみて下さい。筋肉がポコンと膨らみませんか?咬み続けると無意識のうちに筋肉疲労を起こすことも容易におわかりいただけたかと思います。

噛みしめについて

どうして噛みしめがおこるのか?

顎関節症のいちばん手っ取り早い治療方法は噛みしめをやめてもらうことなのです。「くち」を開いてりゃいいのです。誰にでも出来ることです。(でも、難しいことかも知れません。)

無意識にしても、意識的にしても噛みしめがある方が多くなってきていると云われています。ストレス社会に順応するために我々は噛みしめを行っているのです。ストレスを発散させるために人は噛みしめを行っているのです。

噛みしめといってもギュ〜と咬んでいる場合とカチカチと歯を連続的に咬んでいる場合があります。ギュ〜の方をクレンチング・カチカチのほうをタッピングといいます。タッピングは意識的に行っている方もいるのではないでしょうか?

どんな悪さをするのか?

      1. 差し歯や銀歯ががとれやすい。
      2. 歯の根元がえぐられるように削れていく。
      3. 歯がグラグラ動いて痛くなる。
      4. 歯が折れてしまう。
      5. 歯がしみる。
      6. 顎や顎の周囲が痛くなる。
      7. 6以外の顎関節の症状が出てきてしまう。
      8. その他、たくさんの悪影響が考えられます。

噛みしめを意識的にやめる方法。

      1. 下を向く作業をなるべくしない。
        (パソコンを操作するときにも注意)
      2. ストレスを他のもので発散させる。
      3. 舌を前歯で咬むような癖を持つ。
      4. 時計などで1時間おきに警告音を鳴らし、噛みしめに気づく。
        (ポーンと鳴ったら咬まないようにする。)
      5. 目に付きやすい所に{噛みしめない}と張り紙をしておく。
      6. あと、いろいろ考えられますが、日頃注意をするのが一番大切だと思います

治療の流れ

健康保険の範囲内でおこないます。

ヨシダ歯科では基本的に健康保険の範囲内で治療をおこなっています。保険治療では咬合調整、スプリント(あとで説明します)作成、スプリントの調整、模型作成、レントゲン写真ぐらいしか点数化して認められていないため、赤字部門の一つです。
(もう一つは入れ歯作成、顎関節症と総入れ歯の患者さんだけだったら、ヨシダ歯科は確実につぶれます)

ですから、顎関節症を追求して、しっかりとした治療をしている歯科医院では自費の治療しか行っていないと思います。これは、当然のことだと思います。「自費の治療」=「いい治療」とまではいいませんが、本当にいい治療を行おうと思ったら保険では無理です。とくに地代の高い地域ではとうてい無理ではないでしょうか?健康保険の立ち遅れですね。

実際の治療

    今までしっかりと読んでいただいた方は「噛まなきゃいいじゃん!」って理解していただけたと思います。でも、解っていてもついついやってしまうのが「噛みしめ」なんです。「噛みしめ」の原因になっているストレスをどこか違うところで解放してあげるといいのですね。でも、難しいですね。

    1. 問診をします
    2. 触診をします
    3. レントゲン写真をとります
    4. 型をとります
    5. 噛み合わせを記録します
    6. スプリントを作ります
    7. スプリントの調整をします
    8. 咬合の再構成をします

まあ、咬合の再構成(簡単に云えば、奥歯などに銀歯をかぶせちゃって噛み合わせを替えること)を行わなきゃならないケースはほとんどありません。虫歯でもない歯にギンギンギラギラ銀歯をかぶせても、また顎関節症の症状が出ちゃったら元も子もないですからね・・・。