きっと、同業者の方は「うんうん」とうなずいてくれる症例でしょう。
他の歯を治したいという患者さんですが、レントゲン写真を撮ると右下6番に病巣がありました。もちろん、最初に主訴のある歯から治療するのですが、患者さんには「右下の歯が悪くなってます。治しておきべきです」と説明します。(写真#1、銀歯の根の先が黒くなってますね)
さて、この歯を治療してみると樋状根(といじょうこん)という、ちょっと変わった形態をしている根でした。おまけにパーフォレーション(歯の内側から穴が開いていること)してました。
最初に治療した2日目に激しい痛みと腫れを感じて急遽来院されました。歯に入れる薬を入れ替えて、抗生剤と痛み止めを投与しました。
暫く痛みが続いたようでしたが、パーフォレーションしている部分をふさいで、何度か治療をしてようやく痛みは無くなりました。(写真#2、穴がふさがったかどうかの確認写真です)
2週間後、最終的なお薬を入れて根の治療は終了しました。根の先から少しお薬が出ていますが、これで安心です。きっと治るであろうと予想しております。(写真#3、最終的なお薬をいれました)
この患者さん、とても理解力のある方で、痛みが出てしまったことについて「怒り」もなく協力的な方でした。ですから、しっかりと治療も出来たし、この歯は(おそらく)安心して使っていただけるだろうと予想します。
ですが、この歯は元々痛みもなく無症状に経過していた歯です。痛みが出た場合、ほとんどの方が治療した歯医者に対して「不信感」とか「怒り」が芽生えるでしょう。
自分ももし歯科医ではなく、患者側だったら「バッキャーロー!!痛くもない歯を何だかんだと勝手に治療しやがって、こんなに痛いじゃ〜ねぇかー!!」と思うでしょう。
■もし、その怒りで通院しなくなったら、1年も経たずに抜歯となるでしょう。そして「ヨシダ歯科は超ヤブだ!!」と思うでしょう。
■もし、違う歯医者に駆け込んで「かくかくしかじかで、痛い!!」と治療してもらうと、2週間後には良くなるでしょう。そして「ヨシダ歯科は超ヤブだ!!」と思うでしょう。
それはそれで「イヤだな〜」と思うのですが、こういう歯を放置するのも歯科医師としてどうかな・・・と悩み多き青年(←うそ)歯科医の言い訳でした。
#!:根の先に黒い病巣がみえますね。
#2:痛みが楽になったので、とりあえずのお薬を入れて様子を見ました。
#3:最終的なお薬をいれました。
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