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虫歯って、虫歯菌が歯を食べてるって思いませんでした?イモムシが葉っぱを食べるように・・・。私、正直に言うとアホなことにけっこう大人になるまでそう思っていました。アハハハ・・(-_^:)

違うんですね、虫歯菌が砂糖なんかを食べて出したウンコみたいなのが酸(酸性・アルカリ性のね)で、それが歯を溶かしていたんですね。歯科大に行くまで知りませんでしたよ。子供の頃見た虫歯菌の絵(左上の絵のような)が強烈だったのかな?

そうです、歯が酸で溶けるのが虫歯なんです。

まず、敵(虫歯)を知って、敵への対処法を考えましょう。

上の様な三つの輪を見たことありませんか?『それぞれの輪は危険度の大きさを表していて、三つの輪の重なった部分が虫歯になるんだよ。』というものです。

じゃ〜それぞれの輪を小さくしてと虫歯の危険性を少なくし、重なり合う部分を無くして虫歯にはならないようにしよう。といった、昔から有名なものです。古いな〜なんて言わないで・・・。

では、それぞれの輪についてご説明いたしましょう。

 

早い話が虫歯菌がゼロなら虫歯にはならないんです。多かったら少なくするだけ。タダそれだけの話です。ただ単に虫歯菌といってもいろんな菌があります。有名どころではストレプトコッカス・ミュータンスですね。話を簡単にするために、ここではストレプトコッカス・ミュータンスが虫歯菌と覚えておきましょう。

じゃ〜実際どうすればいいのかをお話しいたします。

ミュータンスを持たない

生まれたての子供には普通、歯がありません。歯がないとミュータンスもいません。親・兄弟・おじーちゃん・おばーちゃんからミュータンス菌をうつされるのです。だいたい、お口の中の細菌相(どの菌がどのくらいの割合で存在するのか)は3〜4歳で決まります。

ということで、子供が可愛かったら3〜4歳までチュウしないことが大切です。口移しで食事を与えるのもダメですよ。

ただ〜し、、他の移し与えるべき菌(菌の全てが悪者ではありません)までもシャットアウトすることが良いことかどうか悩むところです。

歯磨きでミュータンス菌を減らす

歯磨きに関してはいろいろ情報があると思いますのでここでは割愛させていただきます。練り歯磨き(デン○ーライオ○とか)を否定している歯医者の先生もいますが、私は特に否定はいたしません。

歯磨き粉の成分の中には殺菌力・歯質強化に有効なものもありあます。ただし、サッパリする感じがするので、『それほど磨けていないのに磨いた気になってしまう』と云うことに注意して下さい。

薬でミュータンス菌をやっつける

ミュータンス菌に有効なお薬(抗生物質など)を飲み続けると、ミュータンス菌の数は確実に減って、虫歯になりにくくなります。海外のデータでははっきり有効性が確実なものもありあます。でも、現実的ではありません。フッ素の効果を利用するか(フッ素には歯質強化の役割と耐菌性の効果があります)せいぜいクロールヘキシジンの利用ぐらいでしょか。

たとえば、虫歯予防のため一生ペニシリンを服用するなんて非現実的で考えられませんね。

親からいただいた歯も、質のいい歯と悪い歯があります。返品して新しい歯と取り替えてもらうことは出来ません。遺伝子組み替えで質の良い歯を大量生産する日は来るのでしょうか?


歯の溝が深い

奥歯の噛み合わせの部分や前歯の裏側の部分には溝があります。この溝が深いと虫歯になりやすいことは何となく理解していただけると思います。
溝が深くて虫歯になりやすいのならその溝を埋めてやればいいじゃない。というのが、シーラントです。簡単に説明するとプラスチックで歯の溝を埋めてあげるものです。どの歯医者さんでもやっていただけると思いますよ。

歯並びが悪い

歯並びが悪くて入り組んでいるところは歯ブラシもとどきにくく、食べ物も停滞しやすいので虫歯になりやすいです。これは、矯正をして歯並びを良くしてあげることで解決できます。

先天性の異常がある

エナメル質形成不全など生まれつき歯の出来が病的に悪い場合があります。生まれつき歯がない人もいるのですから、ラッキーだと思いこみましょう。

フッ素を利用する

なんたってフッ素です。本来は欧米のように飲料水(水道水)に微量のフッ素を入れると一番なのですが、何故か反対する意見がありまして、日本では実現しそうにもありません。『歯科医の先生は統計学を知らない』と座標軸のR判定も出来ないような何も知らない医師の反対などがあるためです。(←ネチケット違反の他人の悪口)

現在、フッ素利用の方法としては以下の事が行われています。

  1. フッ素入りの練り歯磨きを使用する。
  2. フッ素によるうがい。(学校等で行っている場合もあります)
  3. フッ素塗布を行う。(歯科医院で行われます。)

数年前(虫歯予防デーの日に)の地元のテレビ番組でアナウンサーが聞きました。『ところで、○○先生。虫歯に絶対にならない方法はありますか?』○○先生の回答がふるっています。『何も食べないことです。』
この○○先生、私もよく存じ上げている先生なのですが、流石にナイスな回答でした。

なにが悪者か

昔から、甘い物ばっかり食べてると虫歯になってしまうよ。と言われませんでしたか?は〜い、やっぱりお砂糖は悪者でしょうね。実際には炭水化物ですね、悪者は。

今は西洋的な食事をとっているのでしょうが、昔のエスキモーの人たちは脂肪分の多い食事でしかも炭水化物の少ない食生活だったために虫歯はゼロに近かったとのことです

じゃあ、どうすれば良いのか

私は『甘い物も食べてもいいじゃん。』と思っています。それは後で理由を明らかにしますが、問題は摂取量ではなくて摂取頻度であるからです。

子供がいて、虫歯にならないために甘い物無しの生活を送らせたとしたら、それは虫歯のない(又は少ない)いい歯を与えることが出来るでしょう。しかし、子供にとって(大人にとっても)栄養学的にも精神的にも、甘い美味しいお菓子を食べることは大切だと考えています。

虫歯だらけで悲惨な口の中にしてしまうのも考え物ですが、『子供の時、ぎとぎとに甘い物たべたな〜』と云う思いでも大切ですね。

おもしろいデータがあって、いわゆるきれる子の歯はきれいといわれています。親の考えがしっかりしすぎて、それに従っていた子ほど切れてしまう子供になっているのではないでしょうか。

○○先生の言うように『な〜んにも食べなきゃ虫歯にはならない』のですが、そんなの無理だって・・。

虫歯を語るにさけて通れない言葉があります。それは脱灰と再石灰化です。難しい化学式をここに表記しても意味がありませんので。こう考えると解りやすいと思います。

子供の時に遊んだブロックで歯が出来ていると考えて下さい。(とっても小さなブロックを想像して下さい。)

脱灰とはそのブロックがパラパラと外れていってしまう事。
再石灰化とはブロックが外れていった所にまたブロックがくっついていく事。

この脱灰と再石灰化がお口の中では常に繰り返されているのです。


・脱灰の機会が多い(時間が長い)と虫歯はどんどん進行していってしまします。このときお口の中は酸性に傾いています。
・再石灰化の機会が多い(時間が長い)と虫歯はできないか、または進行しない、または気づかない程度の虫歯は治癒していきます。このときお口の中は中性に近い状態です。

時間の経過

先ほど説明したように、重要な事は脱灰している時間(酸性になっている時間)を短く。再石灰化している時間(中性になっている時間)を長くしてあげるといいのです。

この説明には唾液のことについて述べなくてはなりません。次の章ではとりあえず、唾液のことについてお話ししたいと思います。

唾液は虫歯抑制には欠かせない道具です。唾液は重要!

唾液の作用

唾液の虫歯に対する作用としては次のようなものがあります。

・緩衝作用・・・酸性に傾いたPHを中性に近づける働き。
・浄化作用・・・洗い流す働き。
・抗菌作用・・・虫歯菌をやっつける働き。

何となく、分かりますよね。ところが、人によってはその唾液の能力が他人より劣っていたり、唾液そのものの量が少なかったりします。年齢によっても唾液の量は違ってくるのですが、あまり深く追求しすぎると難しくなってしまいますので、ここでは、あまり考えないようにしましょう。(副作用として唾液の量が少なくなる薬もたくさんあます。考えていったらキリがありません)

唾液はどこから出るの?

唾液は唾液腺から出ます。たくさんの唾液腺がありますが、ここでは下の前歯の裏側のところ・上の奥歯の外側のところ・この二カ所から主に出ると覚えておきましょう。
例えば、下の前歯の裏側が虫歯になっている人は殆ど見かけません。これは、唾液の力によるところが大きいからです。(でも、唾液由来の歯石はすぐつきやすいですけどね。)

唾液の緩衝作用

下の図を見て下さい。


・縦軸はお口の中のPHです。PH5.5のところに赤い線が引いてありますが、お口の中のPHが5.5以下だったら虫歯になっていく(脱灰がおこる)んだよ、という意味で赤い線を入れました。(PH5.5というのは仮の数字です。図を見やすくするために5.5と云う数字にしました。尚、この脱灰がおこりだすPHのことを臨界PHといいます。)

・横軸は時間です。

・青の曲線はお口の中のPHの移り変わりです。食事をしてすぐにPHが下がりだし、その後また中性に近づいています。

・ですから、緑の長さの時間だけ歯が脱灰していると思って下さい。

・逆にPHが中性に近いところでは再石灰化がなされています。

先ほど言いましたように、唾液の質・量ともに個人差があります。個人によっても歯のある部位によって差が出てきます。

右の方の図の方は食後すぐにPHが中性に近づくので虫歯になりにくいでしょうし、左の方は虫歯になりやすいと考えられます。しつこいようですが、年齢やお口の中の部位によって個人でも差が出てきます。

ここで1日3食をしっかり摂り、間食をまったくしないAさんと、お菓子食べ放題・ジュースのみ放題のBさんに登場していただきましょう。

このお二人、実在の人物ではありませんよ。もちろんグラフもちゃんと検査して作ったわけではありません。例えばの話です。例えばの・・。

Aさんの場合

Aさんの場合は、食後すぐにはお口の中のPHが酸性になってしまっていますが、その後、中性の時間が長く続くため再石灰化が期待できます。虫歯になる危険性は少ないと言えます

Bさんの場合

問題ありのBさんです。頻繁にお菓子やジュースを摂取しているため、脱灰の時間が長く、再石灰化している時間は極端に短くなります。見ているだけで、虫歯になりそうですよね。

例えばこんな人はBさんのようになっています。

・両親やおじーちゃん・おばーちゃんに甘やかされて育ち、おやつ食べ放題の子供。
・ケーキやお菓子を作る職人さんで一日に何度も味見をしなくてはならない人。(料理人の方は一般的に虫歯が多いのでは?)
・タクシーの運転手さんや夜勤のある看護婦さんなど生活の不規則な方。

もし、これらの方で唾液の状態(性質や量)が悪かったら・・と思うとゾッーとしますよね。

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